山科精器株式会社

2024/12/18 毎日新聞(滋賀版)

完成したばかりの新社屋は、全面ガラス張りの窓から全工場棟や共に成長した高樹齢のしだれ桜を見渡すことができ、製造業のイメージを覆すような吹き抜けのオープンオフィスかつフリーアドレススタイルで、イノベーションを創出している山科精器株式会社。8月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社における「MUFG人的資本経営評価」において、十分な人的資本経営である「B-(マイナス)」ランクを取得しました。

高評価を受けた取り組みは、持続的成長(人材・安全)、評価制度、教育訓練システム、幸せデザインサーベイ、社食でのヘルシーメニューの提供、スポーツフェスタなど。そしてこれらを可能にしたのは2年前に従業員が自ら発足した、誰もが主体的に考えて改善提案でき、開発につなげるユニークな委員会活動でしょう。例えば、花言葉から名付けた「SAZANKAプロジェクト」(オフィスカジュアル、キッチンカーなど)、「カエル委員会」(残業を抑制して家に帰る、会社を変える、利益を確保してほしいものが買える)、「ブランディング委員会」(ドリンクサポートによる地域貢献など)。他にも、さん付けで統一する「呼称改革」、ダイバーシティ・マネジメントなど個を尊重する風土改革です。

1939年の創業以来、時代が求めるファクトリー、エナジー、トライボロジー、ヘルスケアと多岐にわたる4つのソリューションで貢献してきた同社の柱は、「技術尊重経営」と「人間尊重経営」。日本初のバレル研磨機をはじめ、国内トップシェアのNCフェーシングヘッドや舶用弁棒・弁座研磨盤、国内唯一の舶用シリンダ注油器や定量高圧潤滑ポンプなどを一貫生産する技術力は、ヤセック吸引嘴管などのヒット商品も生みました。これに加え、8年前に就任した大日陽一郎社長が注力しているのが、人材マネジメントです。

「売上や利益は従業員とその家族の幸せのための手段」と語る社長の方針は、「丸投げ経営」。事業部制をやめて「新たな結合を生み出し続ける環境」を創り、従業員に口出しせずに信じて任せ、心理的安全性のもとでやりたいことを実現する仕事の楽しさを味わってほしいと、三方よしに「社員」を加えた四方よしでデザイン経営を推進しています。今後は気づきと学びのサイクルを、働きやすく住みやすい地域の町づくりにも広げたいと言います。

今年、当産業支援プラザが開催する「社長塾」に参加し、コーポレートガバナンスを学びながら上場を目指します。補助金を活用して開発した、工作機械の稼働状態を見える化する同社初のIoT生産管理システム「キャッチプラス」や、新たな提案型商品「自走式開先加工機」「フードカッター」などで弾みをつけ、ヤセックブランドのグローバル展開も進めています。間もなく迎える100年企業に向けて気を引き締め、「山科精器があってよかった」と言われ社会に誇れる企業であり続けたい。従業員の生き生きとした表情と和やかな空気に、人材の成長がさらなる企業の成長につながる好循環の兆しを感じました。

企業概要

山科精器株式会社

(栗東市東坂525)

https://www.yasec.co.jp/

FA化に貢献する各種専用工作機械、船舶用ならびに発電プラント向の熱交換器、産業機械・船舶機関向潤滑機および医療機器の製造販売。

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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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