【毎日新聞(滋賀版)】「株式会社ノベルジェン」を紹介する記事が掲載されました
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株式会社ノベルジェン
2024/11/6 毎日新聞(滋賀版)
数十億年前に誕生し、光合成で酸素に富む大気を作り、生態系の起点となった微細藻類。地球環境に大きな変革を起こした今、我々が抱える問題を克服するカギを握ると捉え、そのポテンシャルに着目したのが株式会社ノベルジェンです。
「生物の力で地球と共生する新世代の社会を構築する」。長浜バイオ大学バイオサイエンス学部・研究科の教授である小倉淳さんは、専門の微生物・微細藻類学、バイオインフォマティクスなどを組み合せた基礎研究を社会貢献に直結させたいと2019年に起業。増殖力が高く立体的に培養できる特徴を生かし、「CO2吸収除去・固定」「水資源確保」「マイクロプラスチック除去」という3つのソリューションに「CO2をたんぱく質に」を加え、始動しました。
背景にある独自技術は、水産研究・教育機構と共同開発した人工赤潮炭素回収技術(Algal Bloom Capture)。赤潮の発生メカニズムを基に培養した微細藻類のCO2やマイクロプラスチックに対する高い吸収力と水浄化力を活用した技術で、炭素循環と水循環を同時に達成できます。これを用いた藻類高速培養、水浄化、CO2固定化、微細藻類を餌とする水産物の生産などのシステム提供をメインに、回収後の微細藻類は栄養価の高い飼料や肥料、代替エネルギーペレットなどに再利用する付加価値をも生む事業です。
身近なところからと23年、微細藻類をエサとするカキの肥育技術の開発と実証に着手しました。きっかけは、地球温暖化による海水温上昇などにより餌となる藻類の減少などでカキの身が小さくなりつつある広島県の企業などからの依頼。農林水産省の「中小企業イノベーション創出推進事業」への採択が後押しとなり、長浜地方卸売市場内の実証施設で、CO2等を利用して増殖させた微細藻類を用いてカキの品質を向上させる大型プロジェクトが動いています。
この「水産養殖」による安定した食糧生産を出発点とし、次に目指すのは「工場の脱炭素」、さらに最終目標は「下水処理」です。既存技術より安全な水を作り出す新たな方法を開発し、下水処理場をCO2固定工場に転換することで脱炭素社会を実現する、持続可能な未来につなぐ構想です。
25年の大阪・関西万博への出展も決まり、海に囲まれた日本ならではの脱炭素・水質浄化プロセスをアピールしたいと意気込んでいます。海洋は大気より多くのCO2を貯留・吸収するため、効率よくCO2回収できる可能性があります。もちろん、琵琶湖を有する県内でも、セタシジミのような二枚貝、魚などの水産物の増産や水質浄化を目指しており、パートナー企業を求めています。またジェトロなどの支援も得て、東南アジア、中東、アフリカなどへの海外展開も積極的に進め、グローバルな規模での課題解決を視野に入れています。
「ベンチャー企業の迅速な行動力は、目まぐるしく変化する現代社会に必要不可欠。大企業や大学、研究機関とも連携し、大きなビジョンを達成したい」。新しいブルーカーボンにもなりうるアプローチ、また有用物質を作らないベンチャーであることが、類似する他社との違い。目立たぬ存在ながらも強大な推進力を持つ微細藻類という自然資本を、脱炭素や水処理ビジネスに応用したのは同社が初めてです。「ビジネスよりも社会課題を解決したい」という小倉社長の純粋な思いが心に響きました。
企業概要
株式会社ノベルジェン
(長浜市田村町1281-8-15)
https://novelgen.jp/天然の微細藻類を利用した二酸化炭素吸収・固定、水浄化技術、マイクロプラスチック除去技術に関する研究開発。
お問い合わせ先
(公財)滋賀県産業支援プラザ
情報企画課
- TEL
- 077-511-1411