【毎日新聞(滋賀版)】「近江オドエアーサービス株式会社」を紹介する記事が掲載されました
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近江オドエアーサービス株式会社
2024/9/11 毎日新聞(滋賀版)
私たちの生活環境には、心地よい香りや不快な臭気など嗅覚を刺激するさまざまな「におい」が存在します。この目には見えない相手に徹底的に向き合い、快適なにおい環境を求め続けているのが、近江オドエアーサービス株式会社です。
1962年、医薬品メーカーである株式会社近江兄弟社の子会社として設立された近江オドエアーサービスは、当初アメリカで普及していた家庭用の消臭剤の輸入販売を開始。折しも日本では公害が蔓延し、公害対策基本法や悪臭防止法が制定されるころでした。同社は消臭剤を産業用にシフトし、日本で未確立だった臭気対策に着手。欧米の手法を取り入れながら、感覚的なにおいを数値に置き換える精度の高い測定法と、そのための器材の開発に試行錯誤を重ねると、日本国有鉄道(現:JR)の特急列車や自治体の清掃工場をはじめ民間企業にも販路が広がり、業界のパイオニアとなりました。現在、「採る・測る・対策する」というにおいに関わる3事業を一貫できるのは、日本で同社だけです。
臭気の測定方法は大きく二つ。ガスクロマトグラフなどの分析機器による成分濃度表示法と、三点比較式臭袋法(においを無臭の空気で希釈した倍数で数量化する方法)など人間の嗅覚を活用した官能評価です。不快感や悪臭という判断は知覚によるため、特に複合臭には、驚くことに、最新機器より人間の鼻の感度の方が高く、信頼性の高いデータが得られるといいます。そこで、社員の大半は国家資格である臭気判定士。化学、薬学、工学などの幅広い知識を有し、鋭い嗅覚を保つためにプライベートでも努力を惜しまぬスペシャリストです。
正しく測定・分析するために、器材は完全に無臭であることが必須です。試料の特性に合わせ、保存性、強度、耐薬品性などにも優れた素材によるサンプリングバッグ、ポンプ、注射器などの開発も極めました。また、消臭剤は「エアーサーバー」ブランドをはじめ、多様な業種や発生源に適合するよう100種以上を開発。化学反応、感覚的中和(相殺作用)、マスキング(相加作用)などのメカニズムを組み合わせ、環境配慮や安全性を最優先した製品を揃えています。
これらの技術力と半世紀以上の経験値をベースに、的確な測定と消臭剤の選定から、噴霧、添加、スクラバー(排ガス処理装置)利用など現地の条件に合わせた最良の対策法までを、トータルで提案できることが同社の優位性。全国で2カ所、西日本では唯一の第一種臭気測定認定事業所でもあり、臭気測定に関する講習会の講師も務めています。
根底にあるのは、近江兄弟社の創業者であるW・M・ヴォーリズから継承した「自分たちにできる事業を通じ、目の前の社会課題の解決に貢献する」というDNA。営利目的でなく医療、教育、建築などの公益事業に尽くした同氏の精神は、現代のSDGsにも通じ、近江兄弟社グループの多岐にわたる事業で生き続けているそうです。
昨年、悪臭問題に悩まされているタイのバンコクに、臭気測定ラボを新設。ヴォーリズが唱えた隣人愛を国外にも繋ぎ、対策に向けた事業を始動しました。また、近年研究が進むセンサーによるにおいの測定技術や、脱臭装置や空気清浄機などの製品開発・品質管理における評価試験に携わるなど、強みの嗅覚と蓄積したノウハウを生かした先進的なビジネスも展開し始めています。
においを感じさせる物質は約40万種あるといわれ、複合臭はより複雑で未解明なことが多いとのこと。ライフスタイルや嗜好の多様化、環境意識の高まりなどで、現代社会は一層においに敏感な傾向にあるようです。近江オドエアーサービスは、においのエキスパートとしてさらなる深掘りと新たな挑戦を続け、私たちの心身の健康を支えてくれると確信します。同社のスキルを継承する人材をさらに補強すべく、県プロフェッショナル人材戦略拠点は支援を続けています。
企業概要
近江オドエアーサービス株式会社
(近江八幡市出町415-4)
http://www.shoshu.com/臭気対策コンサルティング、消臭剤・嗅覚測定用機材・サンプリングバッグ等の製造販売、環境計量証明事業等。
お問い合わせ先
(公財)滋賀県産業支援プラザ
情報企画課
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- 077-511-1411