株式会社常盤

2024/7/3 毎日新聞(滋賀版)

さまざまな産業で使われる機械部品の多くは「切削加工」によって作られ、その精度が製品の品質や生産効率の向上に寄与し、ものづくりを支えていると言っても過言ではありません。切削加工の中でも難易度の高い樹脂の加工を得意とし、「THE SUPER SUBCONTRACTOR(すごい下請け)」を掲げ進化を続けているのが、株式会社常盤です。

1983年に電気絶縁物の商社として京都府向日市で創業した常盤電機商会は、その後顧客の要求に応えたいと、絶縁材料である樹脂を主に切削加工する製造業に転身。昇降盤1台から順次設備を増強し、技術力を磨き、産業用設備部品の難加工に挑んでいきました。95年にエリアを拡大すべく草津営業所(現 草津工場)を増設。2013年に現社名となり、半導体製造、電源装置、光学機器など幅広い業界に顧客を広げています。国内は東北から九州まで広範に、海外では韓国を含め年間約170社もの取引先があり、常に高い営業利益率を保持している企業です。

常盤の「すごさ」の一つは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)のバランスのよさにあります。製造業にとって重要な3要素を同時に向上させるのは極めて難しいことですが、多くの取引先から選ばれていることが何よりの証であり、厚い信頼につながっています。また、高度な微細加工の技術にも「すごさ」が存在します。0.05㎜以下の小径工具を巧みに使いこなし、微細加工に優れた感性や鋭い気づきを持つ技術者・技能者に与えられる「エキスパートマシニングアーティスト」(碌々スマートテクノロジー株式会社認定)をはじめ、「ベストサプライヤー賞」「品質優良賞」「Aランク評価」など多くの顧客から高評価を得ています。「他社ができないこともこなせる」と自負する所以です。

二代目の湯浅厚二社長は、とある勉強会でビジョンがもたらすパワーに感銘を受け、社員と共に「10年ビジョン」を策定し始動しました。ニッチできらりと光る企業にしたい。常盤ブランドを作りたい。日本一笑顔があふれる企業でありたい。全従業員で作り上げた30年の姿です。まずは20年に株式会社月歩を新設。下請事業で培った技術力を生かし、個人事業主や個人を対象にゼロからイチを生み出す設計開発型の企業です。さらに来る25年、ものづくりに関わる人々が集い技術を形にする拠点が、草津市に完成します。多様な素材を扱うことができ、複雑な形状でも高精度に仕上げる特長をもつ切削加工は、多品種少量生産や試作品に適しています。コロナ禍に始めたSNSで、個人のニーズの高まりや隠れた需要の掘り起こしなど、ものづくりの楽しさを再認識した同社が、時代に即した個別受注型ビジネスの可能性を見出した「常盤プロジェクト」です。

これを後押ししたのは、昨年度に参加した県産業支援プラザの滋賀型・NT(ニッチトップ)企業創出事業とのこと。自社の潜在力に気付き、やりたいことが明確になり、組織が整い、今、従業員が同じベクトルに向かっていると実感しているそうです。県産業支援プラザは、今年度も新たに企業変革伴走支援事業を立ち上げ、伴走支援により自社の付加価値向上に取り組む企業を募集しています。

常盤の思いは、「創造を日常の文化に。ものづくりをもっと身近に」。ものづくりの魅力を発信しながら、今後はこれまで以上に安定した供給ができる体制を整え、グローバルに海外市場も視野に入れたい。謙虚ながらも熱い思いを語る湯浅社長と、エネルギーに満ちあふれた社風に、社名に込められている永続的な発展の兆しを感じました。

企業概要

株式会社常盤 草津工場

(草津市野路東6-7-19)

https://tokiwa1983.co.jp/

樹脂材料を主品目とした切削加工、部品製造。

お問い合わせ先

(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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