東洋化学株式会社

2024/4/10 毎日新聞(滋賀版)

日常のわずかな傷の応急処置から、靴ずれ、あかぎれ、子供の心のケアにまで、「あってよかった」と誰もが実感する絆創膏。さまざまなタイプの製品化が進み、豊富なラインナップから消費者が厳選する今、東洋化学が独自開発した製品が「2023年度グッドデザイン賞」(公益財団法人日本デザイン振興会主催)、「第49回発明大賞考案功労賞」(公益財団法人日本発明振興協会主催、県産業支援プラザ推薦)を立て続けに受賞しました。

製品名は「キズクイックfitマルチフィットタイプ」と「キズクイックfit水仕事用」。優れた特徴は、これまでにない形状と薄さにあります。

風変わりなドローン型が目を引く「キズクイックfitマルチフィットタイプ」は、指先、指の股やこぶしなど曲げ伸ばしが大きい部位でも、本体の四辺のくぼみが皮膚の凹凸にピタリと貼り付いて伸縮に追随し、動作を妨げません。浮き剥がれもなく快適です。「キズクイックfit水仕事用」は、関節を曲げたときに浮く部分をあらかじめカットしくぼませた形状で、肌に隙間なく密着し、外部からの水や菌の侵入を防ぎます。

いずれも0.15ミリメートルという業界最薄で、柔らかく、目立たず、貼っていることを忘れるほど皮膚と一体化し、違和感がありません。素材には、傷の治癒を阻害する紫外線のカットフィルムを使用し、色素沈着を抑えます。また表面はエンボス(浮き出し)加工によりマット調で光の反射を抑え、上から化粧を施すことも可能なのでさらに傷を目立ちにくくしています。さらに湿潤療法(体液を傷口に保持することで人間の自然治癒力を引き出す)理論に基づくハイドロコロイド(疎水性樹脂の中に吸水性粉末が分散している)膏体を使用し、傷を早くきれいに治します。視線を気にせずおしゃれも水仕事も楽しみながら傷の治癒を促進する、まさに実用性と機能性を兼ね備えた逸品です。

創業は1959年。岡薬品工業社の名で外用硬膏剤の製造から始まり、救急絆創膏をスピーディに製造できるパイオニアとして発展。東南アジアへの輸出を契機に現社名となり、今年50周年を迎えます。86年には業界初のウレタン素材の絆創膏の製品化に成功。その後、安い海外製品の流入やドラッグストアの台頭などの環境変化の中で、2007年に技術開発部を設置し、OEMから自社製品の開発にシフトしました。現在、OTC(対面販売)向けのハイドロコロイド絆創膏を一貫製造できる、国内唯一の企業です。

開発のきっかけは、常に消費者の「生の声」。創業者から受け継がれてきた「製品を通じて困りごとを解決する優しさをもつ企業」への志は変わりません。今回受賞した製品開発の裏側にも、社員の並みならぬ苦労があり、考案した形状は52種。延べ約1万回の貼付テストを重ねた末、三次元曲面でも剥がれにくい最適な比率を見出したのです。

付加価値の高い製品は他にも、せっかくかなえた理美容師の夢を手荒れで諦めてしまうという悲しい声から生まれた、シャンプーなどの水作業に強い「手荒れ保護フィルム」、へバーデン結節(指の第1関節が変形・屈曲する疾患)患者から寄せられた一通の便りがきっかけになった「指保護テープ」、絆創膏のノウハウで口呼吸を防いで鼻呼吸を促す「おやすみテープ」など、消費者のかゆい所に手が届くものばかりです。

「市場の隙間で困っている方々に、唯一無二の製品をピンポイントで届けたい。今回の受賞を誇りに、自社のパーパス(社会的な存在意義)を一層発揮したい」と語る岡哲平取締役。飽和状態で差別化の余地がないと思われがちな成熟市場でも、消費者に寄り添う気持ちがさらなる躍進を可能にすることを、東洋化学は実証しています。

企業概要

東洋化学株式会社

(蒲生郡日野町大字寺尻1008)

https://www.toyokagaku.com/

医療機器・医薬部外品の製造販売、化粧品・衛生用品の販売、その他関連商品の販売

お問い合わせ先

(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

    お問い合わせ内容
    氏名
    メールアドレス
    会社名・団体名
    担当者からの連絡方法をお選びください
    電話番号

    このページの情報は役に立ちましたか?

    ご回答ありがとうございました。
    今後の参考にさせていただきます。

    一番上へ