【毎日新聞(滋賀版)】「株式会社CARAVAN」を紹介する記事が掲載されました
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株式会社CARAVAN
2024/3/12 毎日新聞(滋賀版)
近江八幡市の旧市街に、伝統的な町家などの保全と活用を通じ、地域の賑わい創出を目的とするプロジェクト拠点として、江戸期創業の広大な酒蔵を改装した「まちや俱楽部」があります。その一角に2023年5月に創業したばかりの蜂蜜専門店CARAVANでは、300個以上の小瓶に詰められた蜂蜜が黄金色の輝きを放っています。
創業者の谷口晟士社長は、芸術系大学でデザインを専攻しながら長浜市のまちづくりプロジェクトに情熱を注ぎ、事業を継続するために十分な売上の確保がいかに重要かを身をもって経験。これがその後の人生の礎となりました。卒業後に就職したメーカーでブランディングを習得し、満を持して地元を離れ、縁を感じていた滋賀の「地域おこし協力隊」に応募。「人が息づく観光地」と魅了された近江八幡市で、自らのスキルを生かしたプロジェクトを実現すべく起業を決意したのです。
蜂蜜をビジネスにしたきっかけは、地域おこし協力隊の活動中、異業種交流会での同世代の養蜂家との出会いにありました。蜂蜜は栄養価が高く、免疫力向上、長期保存に優れた甘味料であるにもかかわらず、養蜂への注目度は低く、また砂糖の原料となるサトウキビの栽培拡大が森林伐採を進めている現状を知ったのです。受粉の媒介という重要な役割を担うミツバチを守ることは、生態系のバランスを保つためにも必須です。ミツバチとその副産物である蜂蜜が、地球環境にも人々の健康にも有益なこと、さらに花の種類や季節により味が変わる蜂蜜の奥深さ、面白さを広く発信し、砂糖と同レベルで扱われる甘味料にすることを最終目標としました。CARAVANの強みは、素材そのものを生かした、業界ではまれなブレンド蜂蜜。実は、谷口社長はそれまで口にした蜂蜜の味に馴染めず、風味も不明瞭と感じていたとのこと。「コーヒーのようにブレンドしたら、より味わい深く感動を与えることができるのでは」と着想し、試行錯誤を重ねた結果、得意の企画力・デザイン力を加味した2つの主力商品「ディープブレンド」「フルーティブレンド」が完成。特に観光客に好評で、リピーターやSNS(ネット交流サービス)により普及が加速しています。
「まちや俱楽部」が所在するあきんど道商店街は、地元老舗のベテランと地域外からの若者が、寄り合いを重ねて打ち解け合い、おのおののよさを引き出しています。自らのビジネスだけでなく、まちづくりに熱く献身的な人ばかり。企画からフラッグ・看板・ウエブサイトの作成、ごみ清掃まで共働です。商店街に血を通わせることで街が潤い、人口が増え、地域の宝がより磨かれるようにと谷口社長は願っています。CARAVANのほかにも地域ブランドや地場産品、伝統工芸品、ナッツの量り売りなど、SDGs(持続可能な開発目標)に共感する店が軒を連ねるユニークな街です。
当産業支援プラザの22年度県起業支援事業に「蜂蜜ブランドの立ち上げによる持続可能な社会の実現」で採択され、順調なスタートを切ったCARAVAN。オリジナルの蜂蜜を使ったカヌレ、ドリンク、マシュマロ、フィナンシェ、ボンボンチョコレート、蜜蠟を使った雑貨など、その汎用性の高さを生かした新たな商品開発で弾みをつけています。今後は、チーズや料理との相性のよさを引き出してくれる飲食店とコラボレーションしたい。昨今の健康志向や環境保全への意識の高まりを受け、蜂蜜市場は需要拡大しています。なんと県内のみならず、名古屋市や四日市市の百貨店や温泉旅館でもポップアップ。蜂蜜ベンチャーCARAVANは、湖国から全国へと羽ばたき始めています。
企業概要
株式会社CARAVAN
(近江八幡市仲屋町中21まちや倶楽部内)
https://richlabel832.com/蜂蜜の製造・販売、商いを通じたまちづくり。
お問い合わせ先
(公財)滋賀県産業支援プラザ
情報企画課
- TEL
- 077-511-1411