【毎日新聞(滋賀版)】「株式会社大橋鉄工」を紹介する記事が掲載されました
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株式会社大橋鉄工
2023/8/1 毎日新聞(滋賀版)
複数の金属材料をつなぎ合わせ高機能化を図る「異種金属接合」。モビリティ、ロボットなどの分野でデバイスの小型化、軽量化、省エネ化が求められる今、注目されている技術です。早くも2008年からこの技術に着目していたのが、各種金属加工を手掛ける株式会社大橋鉄工です。
1954年創業の同社を継いだ2代目の大橋正明社長が「独自の技術で世に貢献したい」と研究を重ね、着手したのが「摩擦圧接」です。部材の摩擦によって発生する熱エネルギーと強圧力を利用し、半溶融状態で接合する技術で、通常の溶接では熱伝導率や融点などが異なるために難しかった異種金属の接合を可能にしました。主軸の回転数や温度、加圧力、時間などの調整にスキルを要し、試行錯誤を重ねた末の成果です。
機械的結合(ボルト締めなど)や化学的結合(接着剤など)に比べ、摩擦圧接には優れた特徴が多々あります。一つは、接合強度が高いこと。龍谷大学との共同研究で引張試験により実証しています。二つ目に、必要な部分のみ耐久性のある高価な部材を使い、他を軽く安価な部材に代替することで、軽量化やコスト削減、資源の有効活用につながること。例えば、ニッケルの不必要な部分をアルミに替えれば、硬さと軽さを両立したリーズナブルな複合材になります。三つ目に、工程数や部品数が減り、生産性が向上すること。そして四つ目に、他の溶接と違い、粉じんやガス、CO2を排出しないため環境に優しいことです。
「チタン―耐熱鋼」の複合材は、耐腐食と耐熱を両立する、国内でオンリーワンの製品です。また、「ステンレス―STKMパイプ(機械構造用炭素鋼鋼管)」を接合したコピーローラーは、従来品より軽く高速回転し、材料費低減を実現して実績を伸ばしています。さらに、摩擦圧接を同種金属にも応用し、アクチュエータ部品について従来の機械的結合から摩擦圧接への代替を提案しています。上部に軽いアルミ、下部に重いニッケルを接合した花瓶や金属こまなど、一般消費者向けの商品も展開しています。
「高精度の金属加工技術と一貫生産体制が、当社の強み。これがあるからこそ新技術が生まれた」と語る大橋社長は、まだ確立していない異種金属の組み合わせに挑み、建築・土木、医療機器、スポーツなどの領域での実用を考えています。異種材料を適材適所で組み合わせた「マルチマテリアル」へのニーズが高まる中、様々な金属の特性を熟知し、ポテンシャルの高い摩擦圧接技術を得意とする同社のさらなる活躍が期待されます。
企業概要
株式会社大橋鉄工
(長浜市三ツ矢町11-7)
汎用エンジン、自動車、空調機の動力伝達部品などの精密機械加工。異種、同種の金属接合。
お問い合わせ先
(公財)滋賀県産業支援プラザ
情報企画課
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