ナンカイ滋賀株式会社

2023/7/11 毎日新聞(滋賀版)

2024年4月の働き方改革関連法の施行により、産業界に大きな影響を与えるといわれる「物流の2024年問題」。電子商取引の拡大と相まって、物流の停滞、関連企業の利益減少、トラックドライバーの収入減少、荷主が支払う費用の高騰などが想定され、その回避に向けて様々な対策が急がれています。そんな状況下で、ナンカイ滋賀株式会社が開発した「フォールドデッキ」が救いの一助になるのではと注目されています。

同社は、創業から100年以上、繊維機器や建築資材など「衣」「住」分野で製造技術を磨いてきたナンカイ工業株式会社(大阪府泉佐野市)が、2004年に設立した鉄⾻住宅部材などの金属加工を行う企業です。親会社から継がれた確かな技術力を基盤に、大手企業からの信頼も得る中で、ある運送会社からトラック用の折り畳み式架台の製造を依頼されたことが、フォールドデッキ誕生のきっかけとなりました。

フォールドデッキのメリットは多様です。

1つは、トラック2台分の荷物を1台に集約して運搬できること。トラックの台数はそのままに、積載効率を最大2倍に上げられます。不定形で段積みできない荷物もデッドスペースを活用し、輸送コストを大幅に削減できます。また、物流業界の課題である長時間労働や人手不足の解消、またCO₂の排出削減などの環境問題にも貢献します。

2つめは、安全を最優先として、緻密な構造計算と繰り返しの輸送テストで検証した積載許容重量(等分布荷重)が、2,000㎏と高いこと。破損リスクが高い精密機器や金属製品など、平積みしかできなかった高重量貨物にも対応する頑強性と安定性があります。同社自慢の技術力です。

3つめは、ひとりでもフォークリフトで簡単に組み立て・折り畳みができること。持ち上げて着地させると自重でロックが掛かる仕組みなので、人件費の削減や作業時間の短縮にもつながります。

4つめは、折り畳んだ状態の厚みは約200㎜と省スペース設計のため、工場や倉庫内、トラックの荷台に重ねてコンパクトに保管できること。

そして5つめ、何よりの強みは、社内一貫生産体制によって、標準サイズ以外にも積載物の重量・サイズやトラックの仕様に合わせたフルオーダーに対応できること。ミリ単位の調整や特注の補強など、丁寧で温かみのある職人技に、同社の「ものづくり」に対する真摯な思いが感じられます。

販売実績は約1000台。大手企業からの大量受注もあり、着々と業績を伸ばしています。「フォールドデッキをはじめ、当社製品の横展開によって、物流業界が抱える幅広い課題を解決したい」と、全国を見据えた大望を語る吉田健二社長は、現在、早くも新たな商材を開発中です。地理的優位性があり製造業の多い滋賀県にとっても、重要な社会インフラである「物流」。てんびん棒で近江のいいものを全国各地に広め、江戸時代の物流の発展に貢献した近江商人の姿が、同社の熱い志に重なりました。

企業概要

ナンカイ滋賀株式会社

(湖南市大池町2-3)

https://nankai-kogyo.com/fold-deck/

鉄骨住宅部材等の各種金属加工。

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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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