【毎日新聞(滋賀版)】「扶桑工業株式会社」を紹介する記事が掲載されました
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扶桑工業株式会社
2025/1/22 毎日新聞(滋賀版)
手術に求められる術者の微細な動きを実現し、患者の身体的負担の軽減や医療従事者の人材不足を解消する日本発の手術支援ロボット「hinotori™」が、先般世界初の小児手術に成功し話題となりました。その「hinotori™」の一部品の開発を手掛けているのが、扶桑工業株式会社です。
建設機械の油圧ポンプや足回り、農業機械や産業機械のディーゼルエンジンなどの基幹部品を主力に、アルミニウムの素材から加工・組み立てまでを一貫し、ユニット化などの付加価値のある仕事を得意とする扶桑工業。名立たる大手取引先から信頼を得ている理由の一つは、「技術の深化」です。
「アルミダイキャスト」という、金属を高温で溶かして金型に圧入し高い寸法精度で短時間に生産する鋳造方法を用いて、凝固解析による局部加圧で不必要な空洞を制御し、同社にしかできない薄さ、厚さ、強さ、複雑な形状の加工を無欠陥で完成させます。「hinotori™」にはこの独自技術による厚さ1㎜の部品が採用され、安全かつ効率的な手術環境を支えているのです。また、油圧は他の流体と比べて強力な反面、油漏れが許されず、厚さ60㎜強の耐圧強度の確保、またマイクロメートル単位の機械加工精度が要求されますが、同社にとっては自負するところです。
信頼を得るもう一つの理由は「見える経営」。「VM(ビジュアルマネジメント)活動」という、全員参加の5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)活動を基軸とした人材育成や意識改革、管理監督者のマネジメント能力の向上を継続しています。例えば、従業員は課題に気づくと手書きで掲示し、すぐにPDCAを回します。在庫削減や故障撲滅、生産性向上に、ひいては取引先からの連続表彰にもつながりました。
また、2年前に「シン・フソウ・プロジェクト」を発足。若手を中心に社内コミュニケーション、職場環境、評価の仕組みを改善し、心理的安全性を確保しながらワーク・エンゲージメントを高めています。なんと従業員側から研修を望む声が上がり、「やんちゃ塾」を開講するなどの効果が出始めています。
実は、新たな挑戦をいとわないポジティブな組織風土の礎にあるのは、忘れ得ぬ貴重な経験でした。1962年の創業後、会社更生法の適用を受け、2000年に“新生”扶桑工業として再興。ラインを止めることなく地道な努力を重ね、長浜工場のほかに近江工場(米原市)、新庄工場(長浜市)で事業を拡大してきました。今なお従業員、取引先、地域とのつながりを大切にし、感謝の念を忘れぬ所以はここにあります。
「競合は中国。厳しい経済環境ではあるが、どこにも負けぬ技術力でまずは選ばれる企業であり続けたい。いずれはオリジナル商品にも挑みたい」と語る髙橋善孝社長。苦難を乗り越えた底力と熱意で未来を見据え、協働ロボットの開発やエンジニアが集い自由に設計できるスペースの創造を構想中です。
近年、長浜市と米原市の同社を含むものづくり7企業が、湖北地域で働く楽しさを発信し採用活動する「北びわこBs」というユニークなチームを結成。BsはB級グルメ、Business、Bottom(地元)を表します。長浜商工会議所の副会頭でもある髙橋社長は、「子どもたちが帰って来る地域にしたい。我々工業が下支えとなり観光業や商業などを盛り上げたい」と意気込みます。当産業支援プラザも県北部の振興に注力しています。湖北地域の企業の魅力と熱気を、引き続き発信していきます。
企業概要
扶桑工業株式会社
(長浜市大戌亥町730)
https://fusoco.co.jp/アルミダイキャスト事業、精密機械加工事業、油圧商品組み立て事業。
お問い合わせ先
(公財)滋賀県産業支援プラザ
情報企画課
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- 077-511-1411