株式会社エー・シーケミカル

2024/6/19 毎日新聞(滋賀版)

ギリシャ語の「スポンゴス」に由来するスポンジは本来、体中をめぐる網目状の繊維に水を蓄えることができる海綿動物を指します。これを模して合成樹脂などで人工的に作られるスポンジが今、時代を牽引する最先端分野を支える重要な素材のひとつとなっています。独自の「ポーラスマテリアル(多孔質吸収体)技術」で、従来にない高機能性スポンジの開発に成功した、株式会社エー・シーケミカルを紹介します。

化学を専攻した竹内篤志社長は、前職で顧客から聞いた「砥石が濡れるとスポンジになる」という話に興味を持ち、当時、市場をほぼ独占していたPVA(ポリビニルアルコール)スポンジのパイオニア企業の特許を読み解けたことをきっかけに、2005年に40歳で起業を決意。この技術による製品を求めていた近隣の企業からの投資や、専務取締役で奥様でもあるパートナーの存在が強い後押しになりました。当初の生産拠点は中国だけでしたが、15年に守山市に自社工場を設置し本社も移転。原料となる樹脂の製造から加工を施した完成品までの自社一貫を可能としたことが、競合にない優位性となりシェアを広げています。クレームや緊急時の即座の対応も可能で、納期短縮、少量多品種生産という中小企業ならではの強みも生きています。

同社のスポンジの特徴は、約10ミクロンという微細で均一な連続した立体網目状の気孔構造と高い空隙率にあり、「他社にはまねのできない特殊なノウハウ」と竹内社長は自負します。実際に試してみると、本体重量の約3倍もの液体を微量も残さず瞬時に吸い取り、膨らんだり漏れたりすることなく内部に保持。また、吸い込んだ液体をムラなく塗布することもできました。

吸水・吸油性、柔軟性、弾力性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性に優れ、工業、医療、スポーツ、食品、美容など、産業から生活資材まで幅広い用途があります。特に昨今は、半導体、液晶ガラス、自動車ガラス、プリント基板製造工程中の洗浄後の吸水など、ハイテク業界の需要が増えています。また、スポンジの硬度や気孔径を変えると、きめが細かくしなやかな化粧用のパフやマスク、遮光性を生かしたアイマスクになり、注目を浴びています。さらに、無農薬食品に対応し食品衛生法に適合する製品や、可塑剤を使用せず人体や地球環境に優しい「ポリオレフィンスポンジ」も新たに開発しました。

当産業支援プラザは、「機械要素技術展 大阪」(RX Japan株式会社主催)やコラボしが21 1階「展示コーナーGALLERY」などで、同社の技術を紹介しています。

業績は順調に伸び、近い将来、手狭になった工場を拡張する予定です。災害リスクの回避や販路拡大を視野に入れた3つ目の拠点です。自動化、ロボット化を進めるために、機械・電気分野に長けた人材を求めています。また、結露吸収材など一般消費者向けの商品化に対する要望も多いので、これに特化した子会社も設立する意向です。

用途に応じて自由に設計できる、確かな研究開発力に基づくオンリーワンの知見と技術は、差別化に挑むエー・シーケミカルの最大の武器です。年々高度化する要求にも着実に応え、革新的なアイデアで今後さらに新たなビジネスチャンスを掴んでいくでしょう。

企業概要

株式会社エー・シーケミカル

(守山市播磨田町38-2)

http://www.ac-chemical.co.jp/

高機能性スポンジの製造及び販売。

お問い合わせ先

(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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